光合成微生物を用いた嫌気性消化汚泥の肥料価値向上

摘要

近年、地域内における下水汚泥のエネルギー化•肥料化が推進されている。しかし、小規模処理場では汚泥のエネルギー利用効率が悪く、また嫌気性消化汚泥の肥料利用の事例も限られている。そこで本研究では、消化汚泥の肥料価値を高めるために、汚泥中に含まれる揮発性脂肪酸を基質とし、作物の生育促進などの効果が期待される光合成微生物の培養を試みた。池、水田、および下水汚泥由来の微生物を人工気象器内で人工培地を用いて継続培養し、コマツナの栽培試験を行った。その結果、無機肥料に対して、下水汚泥由来の培養液で、株径、最大菜長、および葉色(SPAD)についてより大きな値が得られ、菌体の肥料効果が示された。次世代シークェンス解析により、Rhodospirillum属の優占が確認された。下水の消化汚泥に培養液を植種したところ、人工培地の場合と同様、カロテノイドが増加しており、消化汚泥を基質とした増殖が確認された。