簡易脳波計を用いた面倒感情の検出

摘要

身体活動量の多い者や，運動を頻繁に行なつている者は，総死亡，虚血性心疾患，高血圧，糖尿病，肥満，骨粗鬆症，結腸がhなどの罹患率や死亡率が低い.また，身体活動や運動が，メンタルへルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている.さらに高齢者において歩行など日常生活における身体活動が，寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている.近年では，家事や仕事の自動化，交通手段の発達により身体活動量が低下してきたことは明らかであり，食生活の変化とともに，近年の生活習慣病増加の一因となっている[1].そのため日常生活に関する動作は完全支援すべきでなく運動量を確保する必要がある.また支援機器を使用する場合，本当に必要な時のみに支援機器の使用を制限する必要がある.しかしながら面倒などの感情により，必要以上に支援を求める傾向が少なくなく，自立行動の妨げになっている.面倒とは不快情動反応の一種である.面倒感情表出の脳のメカニズムとして，まず任意の動作に対する情報が大脳皮質の感覚野で処理される.次に，大脳辺縁系にその情報が入力され，その情報が，快もしくは不快情動のいずれかに判断される.また視床下部にて情動に対する身体反応•内分泌反応を促す.それらの過程を制御するのが前頭前野と言われており，前頭前野が快•不快情動の細かいジャンル分けが行われ，その際に面倒という感情が生まれると想定される.そこで本稿では，前頭前野の脳波による面倒感情の検出を目的とする.もし，面倒という感情を抽出することが出来，支援機器の制御に組み込むことが可能になれば，自立行動を妨げることなく，支援することが可能なシステムを搭載することができると考えられる.ここでは，面倒タスク提示時の情動変化の脳波を分析方法には，ブレインコンピュータィンターフェース（brain computer interface：BCI)で使用されている手法[2]-[7]を参考に，脳波を周波数分析し，サポートベクターマシーン(support vector machine：SVM)を用いて分析する手法を採用する.また「面倒」に関する脳活動電位を検出可能な計測箇所が未明であるため，本稿では，検出可能な箇所を特定する.