配管欠陥検出と流れ場のモニタリングのための超音波可視化計測システムの開発: システム構築に向けた基礎検討

摘要

原子力発電所や火力•水力発電所などの発電プラントにおけるプラント配管の健全性維持は，エネルギーの安定供給において必要不可欠である.一般に，供用期間中における配管の健全性評価は定期的な非破壊検査により行われ，特に，配管内における亀裂•配管減肉管理などは超音波探傷法(Ultrasonic Testing; UT)が用いられる.しかし2004年8月9日に関西電力株式会社美浜発電所3号機において発生した復水系配管破損事故の様に，配管内欠陥や減肉などは流体流れの偏流などによる侵食•腐食といった作用で引き起こされ，配管破損事故へと至る場合があり，配管材に対する非破壊検査だけでは配管の亀裂や減肉などの管理•進展予測は困難である.そこで，本研究では従来非破壊検査で用いられてきたUT法に加え，超音波により配管内流動の計測が可能な超音波流速分布計測法（Ultrasonic Velocity Profiler; UVP)に着目し，UTおよびUVPを用いた配管内探傷•流動の同時計測による欠陥検出システムの構築を目指す.そのため，本稿ではUTおよびUVPによる配管探傷•流動計測の実現可能性に関する基礎検討として，配管内欠陥を模擬したパイプ内のUTおよびUVP計測をそれぞれ実施し，欠陥検出への有効性を検証した.