児童精神系診療科における環境の実態に基づく環境評価項目の検証

摘要

本項では，児童精神系列診療科の病棟部門の環境評価項目をベースに，外来部門の調査を加えて病棟と外来の両部門で援用可能な環境評価項目の作成と検証を行った。結果として，外来，病棟ともにスタッフスぺースや学習空間の評価が低く，働く場としての環境や，患児の治療の補助的な役割となる部屋の整備が不十分との認識がある。また，屋外空間については必要性は高いが整備が不十分，そもそも所有できていない等の認識があることが分かった。「理念」項目と「具体的な環境要素や取り組み」項目の相関は関連付けやすいものもあれば，間接的に関連が生まれていると考えられるものもあった。植栽を置くことには相関値がやや強く出る傾向にあり，植栽を置くことで視覚的·物理的な効果を狙っており，これは遊びやカームダウン，談話など多目的に空間を同時利用することが理由と考えられる。児童精神療養分野の環境づくりにおける特有のことがらとして，環境づくりの「理念」について，加療の一環として，「他者との関係づくり」や「自身の感情のコントロール」をサポートするための環境づくり支援が特に求められている。これらを踏まえ，環境づくりの理念と手段の構造を図示した。