準安定オーステナイトを含む低合金鋼の低温引張変形中その場中性子回折

摘要

準安定オーステナイト(γ )を含む低合確は、変形 中にγ がマルテンサイト(a')へと加工誘起変態することで延性を改善する変態誘起塑性(Transformation Induced Plasticity: TRIP)効果により優れた機械的性質 を示す。このTRIP効果の発現には変形にきる下の相安定性が重要であり、转験温度、 γ中の炭素濃度や微細組織中におけるγの存在位置•形態なよど.のγの相安定性に影響する因子につ.いて多くの研究がなされている。著者らは、室温よりも低温域におけるフェライト(α_F)母相とγ間の相対強度差およびγの相安定性の変化に着目し、準安定γを含む低合金鋼を用いて293 K～77Kの温度範囲での俘温引張試験と電子線後方散乱回折(Electron Back ScatteredDiffraction: EBSD)法による変形前後のγ量とその結晶方位の変化について調査した。その結果、193 K～ 233 Kにおいてα_Fの高强度化と加工誘起変態の促進により本鋼は優れた強度-延性バランスを発現すること、また293 Kでは引張軸に対して<111>が平行なγ (以下、111-γ)が多く残存することを報告した。し力、し、EBSD法で,されたγは、193 Kおよび233 Kにおいて10%ひずみまでにほぼ全て変態しており、10%ひずみ以上の高ひずみ域におけるTRIP効果の役割やγの結晶方位の変化は正確な評価ができていない。加えて、各相の強度変化についてもより定量的な調査が必要であると考えられる。