放射性Cs汚染飛灰セメント固型化物のひび割れ挙動と溶出特性の評価

摘要

放射性セシウム137 (Cs-137)の溶出濃度が溶出試験により150Bq/Lを超える廃棄物は、埋立処分時にその溶出を抑制するための措置としてセメント固型化が義務付けられている。これまでの研究では、一般廃棄物焼却飛灰を対象に、Cs-137の溶出率に及ぼすセメント固型化物の配合条件や養生日数、圧縮強度、供試体寸法の影響を調べてきた。高強度のセメント固型化物からの溶出率は低く抑えられる傾向にあり、また圧縮強度は、水セメント比の低減、飛灰含有量の減少、養生日数長期化によって高くなること等を示した。一方で、セメント固型化物の長期性状や長期溶出挙動に関する知見はまだ少ない。特に、溶出量を抑制する上で有効と考えられる石炭灰（フライアッシュ）の影響は、その効果を発現するには十分な養生が必要とされており、これまでに石炭灰入りのセメント固型化の有効性を検討した事例は無い。焼却灰のように高濃度のアルカリや塩化力ルシゥム存在下での石炭灰の水和の進行は評価されておらず、塩素濃度が高いとpHが高くならず、石炭灰の反応が遅れる可能性がある。以上を背景として本研究では、609日間の長い養生日数を経たセメント固型化物を対象に524日間の長期溶出試験を実施することで、セメント固型化物の長期間にわたるひび割れ挙動やそれに伴う溶出挙動の変化を評価し、それらの抑制に有効だと考えられる石炭灰の効果を検証した。