材料物性値計算ツールを用いた変態?熱?力学解析

摘要

変態·熱·力学過程の一例として鋼のマルテンサイト変態を考えよう。Fig.1はオーステナイトから種々の速度で冷却した時の温度に対する伸びの変化である。これから、相の変化、温度およびひずみという力学的特性がよく表されていることがわかる。これを考える場合、材料の化学成分、温度および冷却速度、生じる相、負荷応力などに依存する各種材料パラメータを必要とする。Liらによるデータも有効ではあるが、材料学会データベース分科会ではMATEQとして実験結果などを集積し、利用に供している。しかし、特に各相における結果を得るには膨大な実験に依らざるを得ない、むしろ不可能といってよい。Calphad法に基づいた各相におけるデータを解析的に求め、これを整理した結果を表示できる物性値計算ソフトJMatProがSente社によって開発,リリースされ関係者で利用されている。以下ではこれらのデータを援用して、複雑な系における変態?熱?力学挙動の解析などを行ない、他の方法による結果と比較する。