レーザーピーニングによるアルミニウム合金A2024-T4の疲労強度向上（残留応力緩和の考慮）

摘要

近年，ショット材を使用しないピーニング技術であるレーザーピーニング（Laser Peening，以下LP）が注目されている．LPは水中で材料にパルスレーザーを照射することで，材料表面に圧縮残留応力を付与する表面改質技術であり，国内では原子炉内構造物の応力腐食剤れ対策として実用化されている．一般的に圧縮残留応力を付与することによって，疲労強度が向上することは知られており，初期残留応力を考慮した疲労寿命予測が行われている.しかし残留応力は機械的負荷により緩和する可能性があり，疲労寿命に及ぼす残留応力の効果を検討する際にはこの緩和を考慮する必要がある．LP施工材の疲労過程における残留応力変化は1サイクル目における緩和量が支配的であり，それ以降の緩和は極僅かであることが明らかになっている．そこで本研究では1サイクル負荷後の表面残留応力を考慮し，疲労特性改善に及ぼすLP施工材の圧縮残留応力効果を検討した．