海底堆積物からマイクロプラスチックを分離するための新しい器具の考案

摘要

海底堆積物は海洋マイクロプラスチック（MP)のメジャーシンクと考えられており、堆積物中MPの効果的な抽出方法が必要である。堆積物からMPを抽出するにはヨウ化ナトリゥム（NaI)や塩化亜鉛（ZnCl)を用いた密度分離法がよく利用される。密度分離にはビーカーゃ栓付ロー 卜が主に用いられるが、ビーカー法では上澄み回収の際に堆積物の再懸濁を防ぐのが難しく、またガラス壁面にMPが残るため行程を繰り返す必要がる。栓付ロートでは、沈hだ堆積物をあらかじめ除去できるが、目詰まりしゃすく、1度に処理できる堆積物が限られる。これらの問題を解決するため栓付ロートを上下逆さまにした形状の金属製分離器具が考案されたが(MPSS, Imhofet al.2012)、分解洗浄が必要なほか大型で重く取扱が容易ではない。類似した機構でPVC製のポータルブルタイプ（SMI,Coppocketal.2017)も提案されているが、シャットアウトバルブの洗浄が必要であり、またプラスチック製のため劣化にともなうコンタミや回収したMPの吸着化学物質の測定には不向きである。そこで本研究では、上記の問題を解決する新しい分離器具を考案し、既知濃度のMPを含む泥を用いてその回収率を調べた。