兵庫県南部の六甲山系における渓流水中硝酸態窒素濃度の現状と評価

摘要

阪神工業地帯の北に接して東西に延びる六甲山地は、明治以降ゴルフ場等の開発や住宅開発が進められ、多くの保養所や観光施設が立地し、約200kmのハイキング道も設備される等、年間を通して多くの観光客が訪れる巿民にとって身近な存在である。六甲山地全体の渓流水質は、1970年代初めに日下らによって調査された。しかし、森林の窒素飽和に関わる硝酸態窒素(NO_3~-N)の実態については駒井らの調べ、排水等の人為的汚染を受けていない渓流水に1mg/L以上の地点が多数存在することを明らかにした。今回、駒井らが15年前に実施した同一調査地点で採水し、渓流水中NO_3~-N濃度の現状、およびその変化状況について検討した。