養液栽培の病害防除を目的とするキトサンの利用に関する検討

摘要

大規模施設園芸では養液栽培が採用される.養液は，通常かけ流しで使用されるが，環境への負荷などを鑑み循環利用システムも提案されている.ただし，養液を循環利用する際は，植物病害を防ぐ目的で殺菌設備が必要となる.提案されるシステムでは，紫外線など定点における殺菌装置が採用されているが，殺菌効果に残留性がないため培地上で繁殖した植物病害菌を防除することはできない.そこで，養液中に添加できる，あるいは培地に散布できる殺菌剤も必要と考える.本研究では，抗菌効果が認められ，農業で利用実績のあるキトサンを殺菌剤の候補とした.キトサンに水溶性を持たせる加工を行い(低分子化と誘導体化)，その抗菌効果を確認した.