大気中ニトロ多環芳香族炭化水素類濃度の国内都市圏における最近の傾向

摘要

ニトロ多環芳香族炭化水素類（NPAHs）は化石燃料の燃焼によって発生するほか、大気中の多環芳香族炭化水素類（PAHs）から二次生成する。NPAHs はPAHs よりも発がh性が強くヒトへの健康影響が懸念されている。加えて、NPAHs の水生生物への毒性評価研究も進hでおり、光照射によって毒性が顕著に増大すること等が示されている。そのため、ヒトや生態系への影響把握のためにNPAHs の実態把握が必要であり、環境省の環境実態調査の対象にもなっている。先行研究では、1997 年から2014 年の間に国内のNPAHs濃度が顕著に減少したことや、越境移流で濃度上昇したPAHs からNPAHs が二次生成すること等が示されている。ただし、大気中濃度が低いNPAHs の国内での観測例は非常に少なく、観測地点も限られている。そこで今回は、道路沿道大気中のNPAHs 濃度の特徴や国内都市圏におけるNPAHs 濃度を調査した。