情報指向型ネットワークにおける災害環境下でのデータ転送方式の検討

摘要

災害時に想定されるネットワークへの影響として，通信インフラの破損や，トラヒックの増大が想定される．この様な影響により，ネットワークの情報伝達能力が低下し，災害時の情報共有に大きな障害となる．情報指向型ネットワーク(以下，ICN)は，IP アドレスを識別子としたIP ネットワークとは異なりデータ名を識別子とする．従って，データの取得場所が変化しても，変化前と同様のデータ名で取得が行える．さらに，各ルータがキャッシュ機能を有し，複数のノードでデータの複製を保持できる．以上より，データ取得場所の変化への対応や輻輳の軽減，負荷分散に効果的であり，災害時の情報伝達能力の向上が期待される．しかし，災害時は使用可能な通信リソースが制限されるため，通信リソースの効率利用が必要である．そこで本研究は，情報の時間的有効性を考慮したデータ転送による通信リソースの効率利用を目的とする．