斜面の変形地形や湧水の電気伝導度に着目した深層崩壊発生危険斜面の危険度評価に関する研究

摘要

深層崩壊は天然ダムを形成し，その決壊などにより甚大な被害を引き起こす恐れがある。そのような被害を防止・軽減するためには，深層崩壊の発生する恐れのある斜面を抽出し，危険度を評価したうえで，適切な対策を検討しなければならない。このような斜面の抽出手法については，変形地形に基づく手法1)や，湧水の湧出量や渓流水の電気伝導度といった水文・水質特性に着目した手法2)が提案されている。一方，危険度評価手法については，変形地形に基づいた手法3)が提案されるなか，水文・水質特性に着目した手法は提案されていない。これは，水文・水質特性が斜面の危険度を示す指標となり得るかが十分にわかっていないためである。そこで，本研究では，水文・水質特性が斜面の危険度評価指標となる可能性を検討するため，湧水に着目し，変形地形に基づく斜面の危険度及び斜面の変形程度を示す歪み率と斜面からの湧水が示す水文・水質特性の関係を明らかにすることを目的に調査を実施した。