河道管理における現場の課題と研究・技術開発の連携に向けて: 河道管理研究小委員会における議論と論点

摘要

洪水から地域の安全・安心を守っていくためには，河川整備を着実に推進するとともに，これまで整備してきた河川管理施設や河道の治水機能を洪水時に確実に発揮できるよう適切に維持管理しなくてはならない．河川の維持管理の中で，堤防，水門，樋門・樋管といった構造物については，点検・評価のための基準類が整備され，それに基づいた維持管理が行われるようになりつつある．しかし，洪水を流す器である河道そのものについては，科学的・技術的知見に基づいた点検・評価手法を確立するには至っていない状況である．河道は洪水外力や地質や土砂生産量などの流域特性，植生などの作用を受け，絶えず変化しており，その変動幅を技術的に把握し，適切な点検・評価および対策技術の確立に結びつけていくためには，学術と技術との連携が必要不可欠である．