航空機翼に対する超撥水性塗装面の耐浸食性に関する研究

摘要

現在，航空機の翼に対して氷が付着することにより飛行特性が低下するという問題が懸念されている．この着氷問題の対策方法として電気ヒータと超撥水性塗料を組み合わせる新たな防氷対策が考えられている．この手法は電気ヒータによって翼表面を加熱して水滴の凍結を防ぎつつ，超撥水性塗料の特性を活用して水滴を除去することを基本概念としており，電気ヒータのみの防除氷策に比べ，消費電力を抑えることが出来るため，着氷対策としては有効的な手法である．しかし，一般的に超撥水性塗料は耐浸食性が低いため，翼全面に超撥水性塗料を塗布した場合，雨滴や雲中の微小水滴（過冷却状態）の衝突により，翼前縁部に塗布した超撥水性塗料の特性が劣化するという問題が指摘されている．