宇宙資源探査における社会的な課題と機会の考察

摘要

宇宙探査の国際的な枠組みであるISECG(国際宇宙探査協働グループ)から､国際宇宙探査ロードマップ初版が2011 年に発行され､国際的な機運が高まっている。宇宙資源利用を含む宇宙探査は､今まで中心的だった宇宙軌道上利用から進hだ新たなステージであり､社会的な関係性について､課題面と機会活用の両面から考察する必要がある。本稿では､そうした社会面での考察として､非宇宙における歴史的な取り組みも考慮して論じたい。1980 年以降､米国ルナエンバシー社は､宇宙条約(1967 年)が宇宙資源の国家所有は禁止していても個人所有への記載がないとして､月､火星､金星等の土地を販売している。2015 年制定の米国宇宙法(SPACE Act of 2015)では､生物は除くが､占有や販売等の営利目的での小惑星を含む宇宙資源の開発と利用を米国の市民と企業に認めている。TheWall Street Journal(2017.5.26)は､｢宇宙開拓時代､無法地帯は取り締まれるのか？｣と題して､250～500 億ドル相当のプラチナが埋蔵された小惑星1 個をコスト26 億ドルの宇宙船で採掘できるというゴールドマン･サックス社のレポートを紹介している。