高温衝撃風洞気流中の不純物による輻射加熱

摘要

高エンタルピ衝撃風洞は再突入流れ場を代表とする極超音速気流を実機条件に最も近い速度・密度で模擬できる風洞であるが、空力加熱計測では正確度が十分でなく、実機設計に供する風洞試験結果としては信頼性が低い。正確度を悪化させている原因が異常高熱流束現象と呼ばれる理論値の数倍ともなる熱流束計測値である1－3)。この現象は数センチ程度の小型模型を用いた試験では問題にならないが、近年研究が盛hな高Re 数気流条件試験のため模型が大型になるほど顕著となり、HIEST の試験では理論値の3 倍以上となる熱流束も観測されている。筆者らはこの現象の解明に取り組み、主な原因が衝撃層内部の金属あるいは炭素等のコンタミネーションからの極めて強い輻射加熱であることを突き止めた4)。この報告ではこれまでHIEST で実施した熱流束計測および分光計測を元に気流コンタミネーションによる輻射加熱の影響を補正する簡易処理を試みた。