プレイモデルとCauerの等価回路理論を取り入れた磁気回路法に基づく種々の鉄心材料のヒステリシス解析

摘要

以上，本稿ではプレイモデルとCauerの等価回路理論を取り入れた磁気回路モデルを用いて，PWM励磁時のマイナーループの算定精度，並びに提案モデルの妥当性に関して，種々の鉄心材料を用いて検討を行った。その結果，方向性ケィ素鋼板および無方向性ケィ素鋼板については，ラダー回路の段数の増加に伴い，マイナーループ並びに鉄損の算定精度が向上するとともに，複素透磁率の実部の周波数特性を高精度に算定可能であることを明らかにした。次いで，アモルファス金属については，導電率並びに板厚が非常に小さく，渦電流損がほとhど発生しないため，ラダー回路の段数によらず，計算精度は一定であることを示した。また，マイナーループの誤差の原因は，異常渦電流損の過大評価によるものと考えられる。さらに，圧粉磁心については，ケィ素鋼板と同様，ラダー回路の段数の増加に従い，マイナーループ並びに鉄損の算定精度が向上するとともに，粒子間を貫通して流れる渦電流により，表皮効果が起きていることを示した。