過渡安定度におけるN波脱調予測に対するマハラノビス距離に基づく判別分析の適用

摘要

本稿では，過渡安定度におけるN波脱調に対し，多変量解析手法のーつであるマハラノビス距離に基づく判別分析を適用し，オンラインで利用可能な予測手法を提案した。提案法では,事故後数[sec]における各発電機において観測された発電機データに対し，事前にオフラインで学習·ラべル付けされたデータとのマハラノビス距離を計算し，これを基にした判別方式でN波脱調予測を行う手法である。提案法の有効性を確認するために電気学会EAST10機47母線系統を用いてシミュレーションを行い，N波脱調予測に成功した。特に，N波脱調するケースを安定と誤判定してしまう危険判断数を0とすることに成功した。また，予測に要する時間も非常に短時間であり，高速さが必要であるリアルタイムでの予測に有効であるといえる。将来的には，本手法と系統制御手法とを組み合わせることで，脱調の未然防止への貢献が可能であると考えられる。