ESDィミュニティ試験の国際規格の課題と最近の研究動向

摘要

電子機器への帯電人体による静電気放電(Electrostatic discharge: ESD)は，身近な現象であり，近年の小型化，高 性能化及び低消费電力化に伴い，回路及び部品は微細化， 高速化及び高インピーダンス化している電子機器にとって GHz帯の周波数成分を含むESD現象は，最も厳しい高周 波の電気的妨害と言われる。電子機器の帯電人体からの ESD耐性試験は，国際電気標準会議（International Electro-technic Committee :IEC)のIEC 61000-4-2 で 規定している。この規格は，帯電人体からの電子機器に対 するESD耐性の試験を規定しており，1984年のIEC pub801-2から改正を繰り返し現在に至っている。自然界で 発生するESI)は，アプローチを伴うある距離で空気中の絶 縁破壊が発生する気中放電であるが試験再現性を確保す る目的で，空気中の放電現象をESD発生器内の高電圧リレ 一で置き替える接触放電方式を主としている。しかし気中 放電は，条件によって接触放電よりより立ち上がり時間の 早い放電電流を発生することがあり,より多くの高周波 成分を含hだ厳しい試験となることが知られている。電気 学会の電磁環境技術委員会では，これまでESD及び放電現 象に関する調査専門委員会を2008年から立ち上げ，これま で「ESD静電気放電のEMC技術調査専門委員会（委員 長：嶺岸茂榭（東北学院犬)）」，「放電に伴う電磁ノイズ特 性調査専門委員会（委員長：川又憲（元八戸工大)）」及び「過渡電磁界の電子機器及び通信に対する障害調査専門委 員会（委員長：石上忍（元情報通信研究機構））」を継続的 に実施してきた。現在は2017年から「電子デバイスに対す るESD過渡電磁界の影響評価調査専門委員会（委員長：石 田武志（ノイズ研究所)）」を活動させている。