LNG タンク内流体のスロッシングによる最大荷重推定に関する研究

摘要

MOSS 型LNG 船の球形タンクは，過去の研究より激しい液体動揺が生じないことが知られているため，タンク流体力が検討されることは少ない1)．しかし，近年MOSS型球形タンクの容積効率向上を目的として，球形から角型へと近づけた形状を有する新形式タンクを搭載したLNG 船の開発が進められている．このような新形式タンクの開発においては，模型実験や数値計算を用いてタンク流体力の推定を行う必要がある．一般的な荷重推定方法としては，タンク流体力と船体動揺の応答関数を用いて，統計的予測手法に基づく長期予測を行い，超過確率Q=10-8 付近の値を最大荷重として推定する手法があるが，最大荷重を引き起こすスロッシングやスワリングといった非線形荷重を考慮するには，複数の動揺振幅での応答関数を取得する必要がある2)．一方，近年の計算技術の進化によって非線形荷重を時刻歴流体シミュレーションで予測できるようになりつつあるが，複数の動揺振幅及び動揺周波数で応答関数を得るために多数の数値シミュレーションを行う必要があり，これにかかる時間が問題となっている．そのため著者らは，最悪短期海象の考え方を利用して，海象の絞り込みを行うとともに，規則応答の実効値から最大荷重を推定する手法を検討している．前報1)でその概要を説明した．本研究では，簡易推定手法を説明し検討例を紹介する．