間欠高周波重畳波浪荷重を受ける溶接継手の疲労強度に関する実験的研究

摘要

近年のコンテナ船の長大化に伴い，スプリンギングやホイッピング等の高周波振動が疲労強度に及ぼす影響が研究されている例えば1)．これらの先行研究ではrainflow 法により疲労寿命が評価されている．弾性振動が疲労強度に与える影響（以下で高周波影響とよぶ）を合理的に評価するためには，船舶に作用する重畳波形を受ける溶接継手の疲労強度をrainflow 法で評価することの有効性について検証しなければならない．以下で，高周波成分が常時重畳している状態を“定常重畳”と，間欠的に重畳している状態を“間欠重畳”とよぶ．著者らは既報2)で，不平衡回転モータを用いた板曲げ振動疲労試験機（PBV 疲労試験機）に追加回転モータまたは回転ハンマを装着して，角回し溶接継手の定常・間欠スプリンギング・ホイッピング重畳疲労試験を実施した．その結果，定常重畳時の角回し溶接継手の疲労寿命は定荷重振幅SN 線図とレインフロー法で概ね推定できるが，間欠重畳時は疲労寿命がレインフロー推定値から大幅に延伸する場合があることを示した．