簡易脳波計による概日リズムの検出

摘要

本稿では，簡易脳波計によりヒトの概日リズムの検出をすることを目的とする。概日リズムとは，生物に内在する約24 時間周期の生体リズムのことを指し，一般には体内時計と呼ばれている。概日リズムは例えば血圧，体温，ホルモン分泌や睡眠－覚醒サイクルに存在していることが先行研究により知られており，生体の様々な活動を司る非常に大切な機能である。(1)概日リズムは，視床下部の視交叉上核に存在する時計機構によりもたらされる一方で外界からも影響を受ける。すなわち，内在的機能と外界の環境変化の同調により概日リズムは保たれている。よって，どちらか一方の変化によりこの同調が崩れると概日リズムも失われ，身体機能の不調を起こす。時差ぼけや交代勤務による睡眠障害等がこの例として挙げられる。他にも光は概日リズムを司る要因としてよく知られている。例えば，概日リズムを有する睡眠－覚醒サイクルには眠気を誘発するメラトニン分泌が関連しているが，この分泌は光を浴びると抑制されることが分かっている。そのため，夜中に光を浴びることは睡眠を妨害する。また，精神的ストレスも概日リズムの内在的機能と外界の同調を狂わせる要因のひとつであることが近年指摘されている。