文字認識のための画像の表面情報を用いた裏写りと地色の除去

摘要

近年，ディジタル技術の進歩およびパーソナルコンピュータやタブレットの普及により，アナログ資料をディジタル資料として保存するディジタル化が一般的となってきている.スキャナの低コスト化やポータブル化もあり，オフィスや学校という場だけではなく，家庭または個人が出先でも手軽に資料のディジタル化を行うことが可能である.ディジタル資料は，紙の資料に比べ携帯性に優れているとともに，風化等による紙自体の劣化の心配がいらないことから保存性にも優れているので，資料の管理が容易である.しかしながら，紙の資料をディジタル化する場合に，裏写りや地色が問題となってくる.裏写りとは，両面印刷紙をスキャンする際に，裏面の情報が表面に透けて読み取られることである.また，地色とはカラー印刷紙や背景色といった資料の下地の色のことである.裏写りや地色があるディジタル資料は，(1)文字や記号あるいは絵等の必要な情報の識別が困難であったり，(2)光学文字認識(Optical Character Recognition)の読み取り精度を低下させる恐れがある.また，(3)そのままのディジタル資料を印刷するとインクの過剰消費によるコストの問題も生じる.