超電導コイルを用いた磁気浮上装置の設計?製作

摘要

航空機などを設計する場合、風洞試験を行う。図1に風洞試験装置の概要を示す。図のように従来の航空機等の縮小モデルの風洞実験では、そのモデルを支柱で支持する必要があつた。しかし、航空機が実際に運用される環境では支柱は実際には存在しないため、従来のように試験対象の支持に支柱を用いる風洞試験の場合、実際の条件とは異なった測定結果が出てしまう。また、航空機のモデルなどの試験対象を磁気浮上制御する場合の風洞試験でも、磁気浮上装置そのものによる試験対象周辺の流れへの影響をできるだけ小さくするために、浮上対象となる風洞試験における試験対象は磁気浮上風洞試験装置そのものからできるだけ離れた位置で浮上させる必要があることから、風洞試験に用いるための磁気浮上装置の磁場源は大きな磁場が必要となる。風洞試験用の磁気浮上装置の磁場源としてはネオジウム磁石などの強磁性体磁石や電磁石等が用いられるが、ネオジウム磁石の場合、風洞試験用の磁気浮上装置の大型化に適さず、電磁石の場合、装置の稼働による消費電力が大きくなるといった欠点がある。そこで、本研究では風洞試験用磁気浮上装置の磁場源に、極低温下において励磁電流が減衰しないという完全導電性の性質をもつ超電導コイルを風洞試験用の磁気浮上装置の磁場源に用いることで、低電力かつ高ギャップな磁気浮上装置の設計製作を行っている。