白金抵抗温度計による氷点の測定に関する検討

摘要

氷点は，氷と空気で飽和している水との平衡状態である。現行の温度目盛である1990年国際温度目盛（ITS-90)では，氷点について温度定点としての扱いはなくなっているが，0 °Cの二 次基準点として使われている。 0 °Cは工業用白金抵抗温度計(IPRT)の規準抵抗値を求める際に必要な温度であり，日常の 測定においても，0 °Cの測定や温度計の安定性の確認等に使われるなど，重要な温度となっている。また，抵抗温度計測以外 でも，熱電対による温度測定においては基準接点の温度として用いられ，ガラス製温度計では0°Cの校正に用いられるなど，現在でも，広く使われている温度定点といえる。氷点を厳密に実現 する場合，不純物を含まない氷や水を用いる必要があり，環境に ついても考慮する必要があるが，一般の測定においては，製氷 機等で作られた氷を使用していると考えられる。この場合，氷には多少の不純物が含まれていると考えられるが,これにより，氷点温度が変化する。氷点温度の再現性等を調査した報告もある が,使用する氷や測定環境等の条件が必ずしも同じではない ことから，実際に使用する氷点の評価が必要となる。