数式処理システムを用いたモデル予測制御系評価関数の数式表現と最適化

摘要

モデル予測制御(GPC)は産業界でひろく適用されており，その制御性能の向上，設計の簡単化が求められている.GPCの設計では，数ステップ先までの出力を含む評価関数を最小化するよう制御則を求める.制御則を求めるには，複数個のマトリックス行列方程式とDiophantine方程式などの多項式方程式を解かなければならない.これらの方程式は複雑であるので，解析的に解くことは困難であり，従来，設計時には，まず，候補の設計パラメータ値を与え，数値シミュレーショによって制御則と制御結果を求め，制御結果が望ましいものでなければ，設計パラメータの値を変更して再び制御結果を求める.これを繰り返して試行錯誤的に望ましい設計パラメータを求めている.もし，設計時に方程式が解析的に解くことが可能で，評価関数の数式表現が求まれば，数式から評価関数最小値が直接求まり，試行錯誤が不要となる.方程式を解析的に解くことは，手計算では不可能であるが，近年，計算機の処理能力が向上して，数式処理ソフトウェアを用いて解くことが可能となった.既に発表者らは，数式処理ソフトウェアを用いて，モデル予測制御系を設計する手法，FRITの設計法を提案している.そこで，本報告では，数式処理ソフトウェアを用いてGPC評価関数の数式表現を求める.