デジタル直接駆動スピーカによる低歪化の実現

摘要

本論では，デジタル直接駆動スピーカシステムを用いて，歪みの低いスピーカを実現できるかを実験により検討を行つた。実測結果から，デジタル直接駆動システムのクロック周波数を下げていくと，歪率が低下することが確認できた。このことから，スピーカを低速で駆動した場合線形に近い動作をしており，デジタル駆動技術を用いれば歪の低いオーディオシステムを実現できると考えられる。しかし，クロック周波数を下げていくと周波数帯域幅が狭くなりノイズも大きくなつてしまう。そのため，ノイズが小さく歪の低いオーディオシステムを実現するには，より高速に応答できるスピーカを用意するかスピーカュニット数を増やす必要がある。また，本稿では歪率の測定を行ったが，これだけでは振動板の正確な動作はわからないので，振動板の動作の解析が必要と考えられる。