環境選択性を有するアトリウム空間における滞在者の環境適応に関する研究

摘要

スポット空調の影響により、夏季の空調稼働時に温熱環境の分布に差が生じており、空調吹出し口近傍において空気温度が低下していた。一方、中間期では窓面からの日射の影響が大きかった。また、SET~*平面分布より、空調影響範囲は吹出し口近傍環境下のみであったと考えられる。上述した温熱環境特性に伴い、滞在場所の選択において、滞在者は先ず利用目的に応じた什器の選択を行っており、次いで什器近傍の温熱環境の好みによって滞在場所を選択していたと考えられる。また、調査地Dでは環境調節に対する要望が非空調•空調アトリウムより強かったが、不快申告は少なかった。以上より、調査地Dでは利用目的に応じた什器及び空調配置により、滞在者が空調方式に応じた選択的環境適応を行うことで温熱環境を広く受容している可能性が示された。