中小洪水による細粒河床材料の移動を伴う 河床変動特性と解析 (利根川上流八斗島周辺の河床変動の実態)

摘要

利根川上流の八斗島観測所周辺において，比較的小規模な出水により土砂堆積した原因を河道基礎資料と数値解析から検討した。本研究で得られた知見を以下に示す．1) 細砂～粗石程度の幅広い粒度分布を有し，細粒分の割合が大きい河道の中小洪水による河床変動は，細粒分の土砂移動が重要と考え，移動しない大粒径による面的な遮蔽を考慮して流砂量を評価した．これによる長期?短期の河床変動解析から，洪水時の水位や河道形状の変化，砂州の移動等が概ね再現された．2) 中の島の形成?発達とこれに伴う利根川本川の河床低下により，烏川と本川の流路が分離されて中の島が下流側へ延伸し，砂州と澪筋流路の位相が下流に向かって前進したことで観測所付近の左岸側が砂州の堆積領域となったことなどが明らかとなった．