相国寺普広院における僧堂の平面構成と機能

摘要

南宋より日本にもたらされた禅宗の伽藍には、僧堂とよばれる堂宇が建てられた。そして清規とよばれる規範をもとに、衆僧は坐禅、食事、睡眠といった生活をこの堂でおこなった。禅宗が日本で展開する過程で塔頭とよばれる子院が形成されることとなったが、その塔頭においても僧堂が建立されたことが、鎌倉においては円覚寺黄梅院で、京においては相国寺普広院などにおいて確認できる。本稿では、相国寺普広院の僧堂に着目し、その平面構成と機能を明らかにすることで、室町時代の京五山塔頭における僧堂について考察したい。