プレキャストプレストレスト鉄筋コンクリート合成梁の断面算定法の研究その13，ＰＲＣの最小鉄筋量と平均プレストレス、その連続性についての考察

摘要

前回までの報告で、導入プレストレス力の大小で定まるＰＣ造からＲＣ造に至る一連のコンクリート合成梁の力学的性状の変化を考察してきた。中間のＰＲＣ造の範囲域ではそれらの性状は劇的に変化する。引張鉄筋の応力度は、プレストレス率によって、中間ではプレストレス率0.5の中央域では鉄筋量の変化に応じて急激に変化するが、両端にあるＰＣ造とＲＣ造に接する近傍の変化は緩やかに連続していることが判明している。建築学会の設計指針ではＰＣ梁にプレストレス率で連続するＰＲＣ梁の鉄筋量が過小にならないように最小鉄筋量を規定している。この規定を一連のコンクリート合成梁モデルに適用して、ＰＲＣ域の最小鉄筋量の変化とＰＣ域との連続性の有無を検証する。前の研究ではＰＲＣ梁の鉄筋量の数量は、当該梁のコストに大きな影響を与えるとしている。ＰＣ～ＰＲＣ～ＲＣに至るコンクリート合成梁のコストビヘイビア（コストパフォーマンス）は引張鋼材（ＰＣ鋼材＋引張鉄筋）の数量の大きさにより決る。コスト縮減を発揮できる領域がプレストレス力比0.5近傍からＰＣ造に近いＰＲＣ域であると期待されるので、その域での鉄筋量を定める規定は重要である。