高減衰積層ゴム支承の捩れ応答に着目した水平２方向地震動評価（その１ 履歴減衰と粘性減衰を持つ積層ゴム支承のモデル化の提案）

摘要

免震構造の主要部材である積層ゴムについては，これまで復元力特性や破断特性に関する多くの実験評価がなされているが，その中で，カリフォルニア大学サンディエゴ校(以下，UCSD)において実施された実大試験体を用いた水平２方向加力実験において，高減衰積層ゴム支承では，その減衰能力によって捩れ変形が発生し，２方向加力時には１方向加力時に比べ早期にせh断破壊が発生する現象が確認された。それを受けて実施された縮小試験体の破断実験により２方向加力時の高減衰積層ゴム支承の限界状態はせh断歪みと捩れ歪みの和が破断限界歪みに達したときと報告されている。しかし，一連の水平２方向加力実験の基本として用いられている楕円加力が実際の地震動より捩れ歪みが多く生じるか明確になっていない。そこで本報では，その１で捩れ歪みやそれを生ずる捩れ力を分析し，高減衰積層ゴム支承の捩れ力を想定した簡易な解析モデルを提示する。その２ではこのモデルを用いた水平２方向地震動入力時の捩れ力を求め，楕円加力時と比較する。