工場立地誘導地区制度導入に伴う工場開発の動向に関する研究:浜松市の市街化調整区域に着目して

摘要

静岡県浜松市は、2005年7月に旧12市町村が合併した人口804,032人、面積155,804haの都市である（2005年国勢調査）。2007年4月の政令指定都市への移行を契機に、線引き都市計画区域と非線引き都市計画区域の双方を含む4つの旧都市計画区域が浜松都市計画区域として再編された。その結果、新しい浜松都市計画区域全域に線引き制度が導入され、市街化区域は9,789ha(6.3％)、市街化調整区域（以下、調整区域と略記する）は36,979ha(23.7％、それ以外は都市計画区域外)となった。他方で、これに伴い、開発圧力に温度差のある複数の地域が同一の調整区域として指定されることとなった。これに対し、浜松市は2008年に、調整区域における開発許可制度の基本方針を策定し、調整区域における土地利用マネジメントを一新した。また、2010年都市データパックより、浜松市は政令指定都市の中で工業出荷額が32256.7億円と最も高いことから（全国7位）、工業都市として栄える意向がある。こうした点を踏まえ、浜松市では、産業振興や調整区域の政策的土地利用を目的に独自に工場立地誘導地区を導入している。