実測および数値シミュレーションによる風速比を用いた室内通風気流の冷却効果に関する研究その１ 市街地に建つ戸建住宅の室内通風気流の評価

摘要

現在わが国では、東日本大震災による原発事故を受けて、東京電力管内では電力の安定供給に支障を来しており、夏季の冷房用電力需要の削減が急務の課題となっている。この問題に関連し、著者らはこれまで風速比に基づく通風評価の可能性について検討してきた1)。本研究では、実際の市街地に建つ戸建住宅、密集市街地に建つ住宅モデルの二条件での検討を行った。本報では戸建住宅を対象に、通風現象のCFDによる再現を試み、予測精度に影響する乱流モデルに関する検討を行うとともに、ベクトル風速からスカラー風速への換算式を用いることで、通風気流を浴びる居住者の体感のより的確な評価を試みた。更に、換算したスカラー風速に基づき居住域平均風速と開口部通過風速の比である風速比を求め、効率的な通風を得る開口について検討した結果を報告する。