Fe_3O_4/Cr/Fe多層膜におけるFe層の磁化過程

摘要

多くの磁性薄膜は多層膜化により、磁気異方性や保磁力などの磁気特性が大きく影響される。また、その様な影響をうまく利用することにより、磁気特性を制御し、デバイスなどに活用している。磁性金属多層膜系で見られる層間交換相互作用はその典型的な例といえよう。一方で酸化物系材料でのそのような研究はまだあまり多くない。しかし、酸化物を用いたスピントロニタス素子への応用の可能性を広げるには、磁気特性の積極的な制御は欠かすことはできない。今回我々は、典型的な磁性酸化物であるFe_3O_4を含むFe_3O_4/Cr/Fe多層膜を作製し、その磁気特性の評価を行った。Fe_3O_4を含む多層膜の磁気特性については、Fe_3O_4/Feの直接交換相互作用およびFe_3O_4/MgO/Feでの層間交換相互作用に関する報告があるが、非磁性金属を挟hだ構造での磁気特性の評価は報告がない。本研究では高品質なエピタキシャル多層膜を作製し、その磁気特性を詳細に調べた。