歴史的市街地における建築高さと空地に着目した風環境の検証（その2)風速風向測定と可視化による京都市都心部の風環境把握

摘要

本研究では風洞実験により京都市街地の風環境を調査した結果を報告した。風速風向測定の結果から、建築物の高さ格差があることや風を導くための空地が少ないことが風環境に悪影響をもたらしていることが考察できた。また可視化実験の結果から、高層建築付近での風の乱れと低層建築付近での風の滞留を確認できた。さらに改善案の検証では、高さ格差の境界に中間高さの建築物を配置することや低層建築物の配列を整えて連担する空地を設けることにより、風を効果的に誘導することが可能となった。都市空間を創造する際の要素として本研究の結果を取り入れ、そこで新しく生まれるコミュニティ空間の創造といった建築計画につなげていきたい。今後は温度変化を考慮した場合や建築物内部への通風性能などの指標も加えて、伝統的住居及び都市全体の環境改善につなげていく。