断熱改修によるRC集合住宅の建築温湿度環境への影響に関する研究

摘要

省エネルギー法の改正の後，既存住宅に対しても断熱気密化による高性能化が求められている。特に，RC集合住宅はストック建築が増加しており，その有効利用と性能?機能の改善のためリノべーションによる省エネルギー対策が課題となっている。また，断熱改修したにも拘わらず,室内熱環境の改善効果が不十分，あるいは悪化する事例が見られる。断熱改修による性能向上は，仕様基準や熱損失係数などで評価されるが，日射熱取得，換気，内部発熱?発湿など，気象条件や生活行為に関することは無視されている。結露?カビなどの断熱気密化が原因の湿害も発生しており，換気不足が懸念される既存住宅の断熱改修に際しては，高湿化を抑制するための湿害対策が必要となる。既往研究では，実測調査や数値シミュレーションを基に，断熱改修による室温上昇や熱負荷削減の効果について報告されているが，建築各部位の温湿度変化や結露性状など快適性?健康性?耐久性に大きく影響する要因は無視されている。