温暖地におけるハイブリット熱源ヒートポンプシステムに関する研究(第1報)地中熱と空気熱の熱源構成に関する検討

摘要

ヒートポンプは建築物の省エネルギーに貢献する高効率機器として空調用途に広く普及している。通常ヒートポンプは空気熱源方式が用いられるが、近年は地中熱をはじめとする未利用熱が注目されている。地中温度は外気温度に比べ年間を通して変動が小さいため、適切な設計と運用の元では夏季の冷房、冬季の暖房のいずれにおいても高い省エネルギー性が期待できる。しかし温暖地の非住宅用途では通常夏の冷房負荷が過多となり、年間の地中からの採熱量と放熱量に偏りが生じ、熱源温度(地中温度)が徐々に上昇する可能性があるため、負荷バランスの改善が必要である。また、地中熱交換器の埋設にあたり敷地やコストの制約が考えられるため、他の熱源との併用が現実的と考えられる。そこで、本研究では、地中熱源ヒートポンプ(Ground Source Heat Purop、以下GSHP)と空冷方式による空気熱源ヒートポンプ(Air Source Heat Pump,以下ASHP)の併用システム(ハイブリッド熱源ヒートポンプシステムと呼ぶ)を想定し、LCEMツールを用いた年間シミュレーションにより、熱源構成の違いによる省エネルギー性を評価し、温暖地の非住宅建築物に適した地中熱利用の方法を明らかにすることを目的とする。