樹木群スケール，河道スケールと樹木群透過係数の関係

摘要

河道内に繁茂する樹木群は，治水面では，洪水流下の抵抗となり水位を高める一方で，河岸の流速を低減させる.また，環境面では，生物に生息場や採餌場を提供するなどの機能をもつが，他方では，ヨシ原帯や礫川原を縮小させるなど，河道本来の環境や景観を失わせるといった問題をもたらしている.このような課題に対し，治水面·環境面の両者の機能を活かした河道内の管理が求められている.これまで著者らは，樹木群のある河川では，流れによる摩擦抵抗力と樹木群抵抗力を考慮し，観測された水面形の時間変化を再現するように二次元不定流方程式を解くことで，洪水中の水理現象を再現レ，水理量を求めてきた.このとき，式(1)に示す樹木群抵抗力中の，樹木群透過係数を，現地踏查や航空写真などから樹木繁茂状況を調べ，観測水面形を再現するように優先して決定することで，高水敷の粗度係数は,河道断面や河床材料の摩擦から決まる,河道に固有の一定値を用いてよいことが示されてきた.