小坂鉱山における藤田組の都市・建築デザイン手法に関する考察小坂鉱山事務所と周辺要素との関係性及びその立地特徴について

摘要

小坂鉱山は秋田県北部に位置し、明治後期から大正初期にかけて最盛期を築いた日本有数の鉱山である。小坂鉱山の開発を主導した藤田組（現：DOWA ホールディングス株式会社）は鉱山の発展に伴い町全体に様々な都市施設1)を建設し、小坂鉱山町は企業城下町2)と言える都市空間を形成した。こうした都市施設の配置に関しては、鉱山開発における機能的な側面だけではない、藤田組による都市デザイン的な意図が指摘されている3)。しかしながら、既往研究において、個々の施設の建築的特徴と小坂鉱山町の都市空間とを横断的な視点で扱った研究は限定的4)であり、藤田組による小坂の都市空間形成に関しては研究の余地がある。