建物の改修を見据えたパラメトリック設計の多目的最適化の活用可能性

摘要

建物の設計段階から長期修繕計画を立て、長寿命化を検討することも一般的になりつつあるが、リノベーション設計者や改修工事施工者からは、機器交換対応や居ながら改修対応など、「この点を新築時に考慮してあればもう少し楽に改修計画が出来た」という率直な声も聞こえてくる。　改修は大きく(1) 維持保全(2) 機能更新の二つに分類されるが、長期修繕工事では一般的に(1) 維持保全を対象にしており、(2) 機能更新 は想定に含めていない。その理由は、機能更新が社会環境の変化やニーズの変化に左右され、想定の幅が広いことにある。将来対応を見込むことで初期コストが増加すれば、コスト的な制約が想定する機能更新対応の幅を狭め、出来る範囲での選択を迫られるのが現状である。新築時の与条件と、維持保全、更には機能更新も視野に入れ、コストとの適切な関係を見極めることが新築設計時に期待されるが、容易なことではない。