住環境から次世代の健康を考えるその 8 健康住空間アンケート調査概要およびアレルギー疾患・シックハウス症候群に関する基本統計量

摘要

シックハウス症候群有症率の定義が異なるため一概の比較は難しいが, 既報, 西條らの調査等と比較し, 大きな差異はない事から, 本調査の対象は大きな偏りがないと考察できる. また, シックハウス症候群の既往歴に比べ、有症率（過去1 年の自宅での経験）は最大で約18.6 倍の差がある事を示した. 症状を経験しているが, 重症化しない為, 診断にかからないという, シックハウス症候群特有の特徴ともいえる. 長期的な暴露を続けることで顕在化や,アレルギー疾患増悪との関連を示す報告もある. さらに,自主的に症状を訴えられない乳幼児においては, 十分な注意が必要である. これらの解決に向けたビジョンとして,室内の化学物質を抑えた空間の提供および, 生活スタイルの提案が求められる. 次報以降で, 住宅・近隣環境, 個人・社会要因, 生活スタイルとシックハウス症状の発生および, アレルギー疾患の有無との関連を報告する. また本研究は追跡可能なA 調査を対象に環境測定および生体データ測定を視野にいれた縦断的調査を実施予定である.