窓先空所の平面構成 3階建て住宅作品における窓先空所(1)

摘要

1. 序近年、都心回帰の動きから都市はますます過密になり、狭小な敷地において3階以上の階をもつことで住空間を確保している住宅が多くみられる。こうした住宅には、隣接する庭や道路、公園などの空地、周囲の建物の上空といった高密な都市環境における残余空間(以下、空所に開口部を向け、それらを積極的に利用しようとするものがみられる。こうした住宅の開口を介して内部と連続する空所には、遠方まで広がるものや、隣家の外壁や塀に遮られる隙間のようなものなど、さまざまな規模のものがあり、周辺環境との関係によつて多様なあり方が想定できる。こうした空所のあり方は住宅の構成を考える上で重要なものとして捉えられる。そこで、本研究では大開口をもつ地上3階建ての近年の住宅作品を資料とし)、住宅の各階の大開口が面する空所を窓先空所として捉え(図1)、周辺墚境との関係による住宅の構成の一端を明らかにすることを目的とする。まず、本編では各階の空所の種類と組合せによる平面パタンを明らかにする。後編ではそれらを1階から3階まで組み合わせることにより空所の立体的な構成を明らかにする。