鉄道支線における沿線景観に関する研究: 兵庫県阪神間における三線を事例に

摘要

これまでの日本の鉄道整備は、地域路線の廃止や高架化事業などに見られるように、主に交通問題の観点から行われてきた。鉄道の走行する景観を地域の魅力として捉える視点では必ずしも整備されてこなかつた。しかし、近年の路面電車の再評価などは、交通問題の視点だけではなく、環境問題などを含めた多様な観点からの鉄道整備が検討されるようになってきた。そこで本研究は、阪神間における支線を事例に、コンパクトなスケールにおける鉄道沿線に形成された自然環境や建築物などの物的なもので構成される景観と、そこにおける生活者の活動などを含めた景観を総合的にみていくことで、地域と鉄道との望ましい姿を考えていく。方法としては、分析1では地形の違い、敷設形態の違いによる鉄道の走行景観について、模式図を作成し考察した。分析2では各路線全域の線路に接する一建築物を対象に、建築物の立地を目視により調査し、建築物と鉄道との関係を明らかにした。最後に分析3ではヒアリングら、沿線でみられる生活者の活動について考察した。