橋梁と宿駅の現状について: カンボジアのアンコール王国時代の王道と橋梁と宿駅に闋する総合学術調査

摘要

以上、王道に付随する橋梁•宿駅•施療院•貯水池についてこれまでの研究をまとめた。近年では、これらの宿駅や施療院と他の遺跡の関連に加え、石橋の存在を考慮した解釈が行われている。これより、スールャヴァルマン1世、スールャヴァルマン2世の統治時代に創建されたとされる寺院や木造橋をもとに、ジャャバルマン7世が改築や新築した宿駅、施療院、及び石橘に囲まれた宿場町の存在が浮かびあがる。これは、チャンパからの攻撃によって建設されたアンコールの都城と同様に、周壁で囲まれた砦を防御拠点として、周辺地域に整備したものであると考えられる。これより、『ジャャヴァルマン7世の、恒久的な支配、一種の領土意識』を読み取ることができる。