オランダ構造主義作品における幾何学的な図形パタンと室構成との相関性に関する考察: 20世紀オランダ近代建築運動および作品研究(その18)

摘要

オランダ構造主義は、CIAMを軸に展開していた近代建築を批判し修正する立場をとつたオランダにおける後期近代建築運動として知られている。オランダ構造主義の建築作品については、屋根や柱等の物体の平面投影において認められる、均ーで幾何学的な図形パタンという結果的に造形に関わる要素と、体験に基づく主観的なィメージにより記述される多様な内部構成という、一見矛盾した事実が指摘されている。このようなオランダ構造主義作品の空間の構成的特徴に対する異なる水準での指摘を媒介することが、本稿の目的である。以上のような視点から、オランダ構造主義の主要な建築家の作品に対して、幾何学的な図形パタンと実際の空間構成に関わる下位要素である室構成との相関性について分析、考察を行う。