東京博物館の復興計画案「秋保私案」について

摘要

「秋保私案」は、予算確定後の1924年(大正13)年8月以降、翌年12月までに作成された案である可能性が高いことがわかった。施設内容としては、単なる陳列場ではなく、研究や教育といった視点で計画された初期の博物館建築であつたと言えるであろう。実施設計は文部省大臣官房建築課が柴垣鼎太郎課長の下、糟谷謙三をはじめとする設計チームでまとめられた。どの段階で飛行機型の平面計画となったのか現段階では不明であるが、そのファサードは「秋保私案」をベースにデザインされている。諸室配置においても図書室ゃ大講堂を本館内に計画するなど秋保館長の意図が具体的に実現することとなった。