都市におけるエスニシティの混交性と空間表象の変化に関する研究: 横浜市鶴見区の『リトル沖繩』を事例にして

摘要

1972年の返還を機に，それまで米施政権下の統治に置かれていた沖繩は.「沖繩国際海洋博覧会」（1975）や航空会社の「沖繩キャンペーン」（1977～)、さらに「九州·沖繩サミット」（2000.7)や同年発行された首里城2,000円札、そしてNHK朝の連続テレビ小説「ちゆらさh」の放映など，「沖繩ブーム」と呼ばれる現象の中で、「青い海」や「南の亜熱帯」、「独特な文化」といった「沖繩イメージ」を誕生させると、それらの浸透は全国的な展開をみせていった。本稿ではこうした時代の流れを受けて、近年，横浜市鶴見区に浮かび上がった「リトル沖繩」という地域の表象について考察し、現代の都市におけるエスニシティの混交性に横たわる問題について迫ろうとするものである。